• 2026年7月24日
  • 2026年7月9日

腹式呼吸とは?不安を和らげる呼吸法|精神科専門医がやり方と効果を解説

腹式呼吸とは?不安を和らげる呼吸法|精神科専門医がやり方と効果を解説

「緊張すると息苦しくなる」「不安になると呼吸が浅くなる」「パニック発作が起こりそうになると息ができない気がする」。

このような経験はありませんか?

強いストレスや不安を感じると、多くの人は無意識のうちに呼吸が浅く速くなります。すると身体はさらに緊張し、不安が強まるという悪循環に陥ってしまいます。

そんなときに役立つセルフケアの一つが腹式呼吸です。

腹式呼吸は、精神科や心療内科でもリラクゼーション法として広く取り入れられており、不安や緊張を和らげる方法としておすすめされています。

今回は腹式呼吸の効果や正しいやり方について解説します。

腹式呼吸とは?

腹式呼吸とは、お腹(横隔膜)を大きく動かしながら行う深い呼吸法です。

普段、緊張しているときは胸だけで浅く呼吸をする「胸式呼吸」になりやすく、呼吸が速くなります。

一方、腹式呼吸では横隔膜をしっかり動かすことで肺に十分な空気を取り込み、ゆっくりと息を吐くことができます。

このゆったりとした呼吸が、心身をリラックスさせることにつながります。

なぜ腹式呼吸で不安が和らぐのでしょうか?

私たちの身体には「自律神経」があり、活動時には交感神経、リラックスするときには副交感神経が働きます。

不安やストレスが強いと交感神経が優位になり、

  • 心拍数が上がる
  • 呼吸が速くなる
  • 肩や首に力が入る
  • 動悸がする

といった反応が起こります。

腹式呼吸では、特に**「ゆっくり息を吐く」**ことによって副交感神経が働きやすくなり、身体の緊張が和らぐと考えられています。

腹式呼吸のやり方

初めて行う方は、椅子に座るか仰向けになって行うと取り組みやすいでしょう。

① 楽な姿勢をとる

肩の力を抜き、背筋を軽く伸ばします。

片方の手を胸に、もう一方の手をお腹に当てると、お腹の動きが分かりやすくなります。

② 鼻からゆっくり息を吸う

4秒ほどかけて鼻から息を吸います。

胸ではなく、お腹が膨らむことを意識しましょう。

③ 口からゆっくり息を吐く

6〜8秒ほどかけて細く長く息を吐きます。

ろうそくの火を消さないように、静かに吹くイメージがおすすめです。

④ これを5〜10回繰り返す

1〜3分程度続けるだけでも、気持ちが落ち着いてくる方が多くいます。

腹式呼吸が役立つ場面

腹式呼吸は、さまざまな場面で取り入れることができます。

例えば、

  • 不安が強くなったとき
  • パニック発作が起こりそうなとき
  • 人前で緊張するとき
  • イライラしているとき
  • 寝つきが悪いとき
  • 大切な試験や面接の前

などです。

短時間で行えるため、自宅だけでなく職場や学校でも実践しやすい方法です。

効果を高めるコツ

腹式呼吸は、症状が強くなってから初めて行うよりも、普段から練習しておくことが大切です。

朝起きたときや寝る前など、毎日数分続けることで、自然と深い呼吸が身につきやすくなります。

また、

  • 筋弛緩法(漸進的筋弛緩法)
  • 5-4-3-2-1法(グラウンディング)
  • マインドフルネス瞑想

などと組み合わせることで、よりリラックスしやすくなる方もいます。

腹式呼吸だけでは改善しない場合もあります

腹式呼吸は、不安や緊張を和らげる有効なセルフケアですが、すべての症状を改善できるわけではありません。

次のような状態が続く場合は、セルフケアだけで抱え込まず、精神科や心療内科への相談をご検討ください。

  • 不安で外出できない
  • パニック発作を繰り返している
  • 気分の落ち込みが続く
  • 不眠が長く続いている
  • 仕事や学校へ行けない状態が続いている

これらの背景には、不安症、パニック症、うつ病などが隠れていることもあります。

まとめ

腹式呼吸は、不安や緊張を感じたときに、自分で取り組めるシンプルなセルフケアです。

特別な道具は必要なく、数分で実践できるため、日常生活にも取り入れやすい方法といえるでしょう。

大切なのは、「うまく呼吸しよう」と頑張りすぎず、自分のペースで続けることです。毎日の習慣として取り入れることで、ストレスへの対処力を高める助けになるかもしれません。


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新宿駅前こころと発達のクリニック
院長 坂田晃浩
日本精神神経学会 精神科専門医
精神保健指定医
日本医師会認定産業医
認知症サポート医

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